2016年10月04日
現在、人工知能への関心が急速に高まってきている。
これは、人工知能が将棋の名人を破るという快挙を成し遂げたことを切っ掛けに、今後、あらゆる分野へ人工知能が進出すると考えられているだからだ。
既に、人工知能技術を使って大学試験問題を解かせたり、小説を書かせたりする試みも始まっている。
そして、その流れが作曲の分野にも進出しようとしているのだ。
このほど、大阪大学と東京都市大学の研究グループは、人工知能技術を使って新たに開発した「自動作曲システム」により、新しい曲を作曲することに成功したという。
果たして、近い将来、人工知能が作曲した交響曲の演奏会が、多くの聴衆を集め開かれることになって行くのであろうか。
興味は尽きない。(蔵 志津久)
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大阪大学産業科学研究所の沼尾正行教授、および東京都市大学メディア情報学部の大谷紀子教授の研究グループは、人工知能技術を駆使して開発した「自動作曲システム」を用いて、フォークデュオ「ワライナキ」と共同で、「共同募金運動70年記念応援ソング」を完成させることに成功した。
今回使用された人工知能に基づく「自動作曲システム」は、目的の感性を想起させる既存楽曲が入力されると、入力された楽曲に共通する特徴を学習し、得られた特徴に基づいて楽曲を生成する機能を持っている。
今回、同システムにより生成されたメロディをベースとして、プロのアーティストと共同で応援ソングを完成させることに成功したもの。
両者は平成28年5月から、観客の感性データに基づく自動作曲を行うことを目的に、コンサート観客の感性をアンケートにより収集し、それに基づいて作曲するという共同研究を行ってきた。これは、あるグループの構成員に共通する感性を抽出することで、そのグループを高揚させる音楽を作り出すことを目指している。
このほど、社会福祉法人奈良県共同募金会より、ワライナキに「共同募金運動70年記念応援ソング」の作曲の依頼があり、新たに開発した「自動作曲システム」を用いて作曲することになったもの。
作曲に当たり、ワライナキへの依頼ということから、ワライナキならではの雰囲気が漂う曲である必要があるとともに、「共同募金運動70年記念応援ソング」としても、感謝や応援の気持ちを想起させるような楽曲にすりこととした。
そこで、ワライナキの曲の中でも特に感謝や応援を歌った3曲を前述の自動作曲システムに入力し、複数の短い曲を作成し、それにワライナキが手を加えて歌詞をつけ、曲を完成させた。